最高裁判所第二小法廷 昭和42年(あ)333号 決定 1967年12月14日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人田島勇の上告趣意第一点について。
所論は、判例違反をいうが、原判決は、被告人の相良修二等三名に対するけん銃等の購入あっ旋の事実を、右三名について個別的にそれぞれのけん銃の購入所持を容易ならしめたものと認定したのであり、したがって、右の幇助行為自体を三個の行為と判断したものと解せられるから、幇助行為自体が一個であることを前提とする所論引用の判例は、前提を異にし本件に適切でなく、所論は適法な上告理由に当らない。
同第二点について。
所論は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない(なお、他人がけん銃を購入してこれを携帯所持すべきことを認識しながら、その購入のあっ旋をし、その結果、同人をしてけん銃を購入所持するに至らせたときは、けん銃の不法所持の幇助犯が成立すると解すべきであるから、被告人の原判示所為について、けん銃の不法所持の幇助犯が成立するとした原判断は相当である。)。
また、記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)